アクマの果実
「へえ...。

ゲーセン普通に行くんだね。」

「はい。ゲームって面白いです。」


って...。


引くほどうまいんですけど。


「もしかして、ここかなり通ってる?」

「そうですね。
最近ここの最高記録出せたんです。

でも、安澄さんにこれをやらせたらすぐに超えちゃうんだろうな...。」

「そんなにすごいの?」

「はい。
なにせ安澄さんは戦闘はゲームどころか実戦でもS評価並ですからね。」

「実戦って...。なんだか穏やかじゃない...。」

「大丈夫ですよ。かなり昔の話なので。」

「2人は、普段から仲良いみたいだけど、
どういう形で知り合ったの?」

「えっと...どうだったかな。

かなり前なのであまり覚えてないですね。

でも、最初は確か、僕は安澄さんに嫌われていました。

安澄さんは、本当は実戦関係で成績が良いんですけど、問題行動をよく起こしていて。

ここまで真面目になったのも最近というか。

だから、新入り扱いなんですよね。真面目にキャリアを積み上げていたら、今ごろ指揮官ぐらいにはなっていてもおかしくないんですけど。」

「安澄さんって呼ぶぐらいだから、彼の方が先輩なの?」

「さあ。人間と違って、僕たちは経歴や年齢を重視することはないですからね。

あ、もちろん安澄さんのように仕事上、あと向こうの教育機関などでは一応気にしますよ。

でも、それは管理上の話なので...。」

「プライベートではあまり関係ないんだ。

でも、秌場くんはいつも安澄さんに敬語だよね。」

「それは、そもそも安澄さんに限った話ではないですかね。

僕からタメ口で話すことってまずないぐらいです。」

「どうして?」

「理由というほどでもないんですけど、どんな方でも、まず必要最低限は敬意を表したいんです。」

「な、なるほど...。」

「変えてほしいと言われれば変えますよ。
なんとなくこの話し方で距離を感じる方って多いと思うので。」

「そうだね...。
実際ちょっと距離感じるかも。」

「そうですか...。
河津さんは、僕のような悪魔にも臆せず近づいてくださるんですね。」

「まあ...。
悪い人(?)じゃないみたいだし。」

「具体的な危害は加えないように最大限気を付けているつもりです。
今は、そのくらいを意識するしか、僕には分からなくて。

人間との関わり方、正直言って慣れてないんです。」

「大丈夫。私も慣れてないから。」

「そうなんですね。
でも、河津さんはとても優しい方だから、きっといつか素晴らしい方と巡り会えますよ。」

「うん...。

よく一連の会話をゲームしながらできたね。

それに何気ないハイスコアだし。」

「すみません。拙い会話で。」

「ううん。」

「河津さんもやってみます?」

「え、私?
私はこういうのは苦手だからなー。」

「慣れれば楽しくなってきますよ。
コツがあるんです。」

「へえ...。」

「一緒にやってみましょう。」

「うん...。」


で、でも...。


こうすると...。


何気に、物理的な距離は...近い...??
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