アクマの果実
それで、やっと両親が帰ってきた。

帰ってきたのはいいけど、これからどうするんですかね。

「とはいっても、おおよその手続きや後処理済ませたらまた出張だ。」

「出張って...。
私どうすればいいの?」

「当分アパート借りて住めばいいだろう。
資金はこっちから渡しておくから。」

はあ。

まあそうなるよな...。

こんなときでもいつでも仕事仕事って...。

でも、学費や生活費払ってもらってるから何にも言えないや。

仕事上はできてる人扱いみたいだし。

「そういえば、ここ数日どうしていたんだ?」

「友達に泊めてもらってた。」

「ホテルに泊まるって話じゃなかったのか?」

「だって...急に言われたから小遣いギリギリだったし。
それなら是非って、言ってくれたから。」

「まったく、そうやって他人に恩を売られるもんじゃないぞ。
迷惑かけたなら、菓子折りのひとつでも持っていかなきゃ失礼だろ。」

「...私が行くの...?」

「当たり前だろ。お前が世話になったんだから。」

...なんだか、言い方きついな。

自分たちは今まで家のこと何もしなかったのに。


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