アクマの果実
っていっても、保護者が顔を出さなきゃ角が立つとかで、すごく面倒くさそうに両親がついてきた。

悪いことした気分...。

それに、友達って言っても。

「河津さん...?どうされましたか?」

男(?)が出てきて、両親が驚いてるのが分かる。

絶対、女友達だと思ってただろうから。

「すみません。
結奈がお宅にお世話になりました。
これは、ほんのお礼です。」

「え、いえ...。わざわざどうも。
この度は、災難でしたね...。」

「結奈のご友人ですか?」

「はい。秌場と申します。
ですが、僕も居候なんです。
主人は外出中なので、後で渡しておきますね。」

主人って...。

まあ、主人なんだけど、なんか夫婦みたいな言い方だなって思った。

なんて、ぼーっとしていると、

「ほら、結奈も挨拶しなさい。」

「あ、えっと...ありがとう...ございます。」

「いいえ。こちらの方こそ、お世話になりました。
家事など沢山手伝って頂いてありがとうございます。安澄さんも感謝していましたよ。

むしろこちらこそ、お礼のひとつもできなくて申し訳ありません。」

「いえ...。」

「また、是非遊びにいらしてください。
なんて居候の僕が言うのも変かもしれませんが。きっと安澄さんも大歓迎だと思いますので。」

「うん...。」

なんだか、元は人見知りだから、秌場くんとのコミュ力的な差を思い知らされる。

「えっと、秌場くんだっけ?」

「はい。」

両親は何故か顔を見合わせている。

「失礼を承知で、お願いがあるのですが、
よろしいですか?」

「はい。どういったご相談ですか?」

「これから、私たちの仕事上の都合で、当分結奈が1人で住まえる場所を探しているのですが、
差し支えなければこちらに引き続き置いてもらえることはできますか?
必要な経費はもちろんこちらでご負担しますので、その旨をご主人にお伝えいただければと。」

「その旨であれば、主人からあらかじめ予見と承諾を得ているので、もし河津さんご自身がそれでいいと仰るのであればいつでも構いません。

僕自身も大歓迎ですので。
河津さんは、それでも大丈夫ですか?」

「うん。」

「ありがとうございます。」

「いえ、こちらこそ。
河津さん、またお世話になります。」

あれれ。

なんか、またこの家に??

どういう掌返しなんだろう。

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