アクマの果実
「そういえば秌場くんたちって、他にも友達とかいたりする?」

「人間では河津さんだけだけど、人間以外だったら、もちろん仲のいい知人は何人かいるよ。」

「僕はあまりいないですね。
悪魔はあまり集団で群れをなすこともありませんから。」

「へえ。
って、あまりきくのもよくないのかな?
こういうことって。」

「別に悪いことじゃないよ。
俺たちみたいなのが人間に扮して生活してるなんてことままあることだからさ。」

「そうなの?」

「例えば、よく吸血鬼と人間との恋とか、恋愛小説に書かれたりするけど、普通にあり得る話だからね。俺の知り合いに吸血鬼いるけど、人間のあの子かわいいとか言って、この前道端でナンパしてたし。」

「ナンパ!?」

「だって、吸血鬼って、人間との違いって、寿命と餌の違いくらいでしょ。

そういえば、あいつそろそろ休暇だからそこら辺うろうろしてるかもな。」

「え...大丈夫かな。
だって、血吸うんでしょ?」

「そりゃそうだけど、秌場くんや繁殖期のメスの蚊みたいに常に餌を欲してるわけじゃないよ。だから別に人を殺したり、傷つけたりしない。良い奴が多いよ。

そこが人間の認識と違うところかな。」

秌場くんと蚊を一緒にしたぞ、この人...。

「紹介したほうがいい?」

「いいです...遠慮しておきます。」
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