アクマの果実
今日は、なんだかブローチの石が水晶みたいに澄んでいる。

どの色も...綺麗。

これが本当に私のことをうつしているんだとしたら。

私って...なんなんだろう。

これを胸元につけてもいいんだろうか。

「秌場くんはあの兄妹と散歩に出かけたよ。」

「そうなんだ。」

「昨日は色々あったみたいだけど、相手は7歳だから勘弁してあげてよ。

たぶん、少し成長すれば婚約の話とか向こうで出ると思うし。家を継ぐための勉強も本格的にすることになるから。

彼女の場合、秌場くんとこうして仲良くできるのも今のうちなんだよ。」

「うん。私も、大人気なかったと思う。」

「まあ、河津さんのせいってわけでもないけどね。秌場くんが甘すぎるんだよ。」

「そうかな。」

「秌場くんって、良くも悪くも魅力的だよね。」

悪くも魅力的とは??

「そういえば、今日また客が来るらしいんだよね。面倒な奴だから、君も外に出てれば?」

「え?どういう人?」

「うん、人っていうか、あの兄妹の従兄弟なんだけど、普通にめんどくさい性格だから外出をおすすめするってこと。」

「そ、そう...。
じゃあ、そうする。」

ピンポーン。

「あ、思ったより早くきた。
君は別室にいて。タイミングよく抜け出すんだ。」

「え...?」



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