アクマの果実
「秌場くん。」

「あ、河津さん。おはようございます。
今ちょうど散歩から戻ろうと思ってたんです。」

「うん...それなんだけど、安澄くんがしばらく戻ってこないようにって。」

「クロエさんがいらっしゃっているんですね。」

「やっぱりそのクロエさんって危険なの?」

「いえ、良い方ですよ。
ただ、女の人を見かけると過剰に反応してしまうんです。」

「どういうこと?」

「女の人誰しもに反応するわけではないそうですが。河津さんのような美人さんは危ないんだそうです。」

「い、いや私は別に...。」

側にいるリテアがなんとも言えない目を私に向けてくる...。

「特に、においというものに敏感なんだそうです。」

「...具体的にどうなるの?」

「一方的にスキンシップを迫られてしまいます。激しく言い寄られたり、いきなり抱擁されたりなどするので、初めてだと驚愕してしまうと思います。」

確かに危険だな...。

「クロエが来るなんて...。
見つかったらいや。りぃがツカサと一緒にいられなくなっちゃうもん。」

「どうして?」

「クロエは女の人も好きだけど、誰よりもツカサが好きなの。
きっと、ユナなんかそっちのけでツカサにくっつくわ。」

意味が分からない。

といってるそばから...。

「あ、クロエがきた!
ツカサ、ユナをおとりにして逃げよう!」

って...。

なんで私をおとりにしようとしてるんだ!

「おとりなんて、そんなことできませんよ。
河津さんを守らなくては。」

「それじゃあツカサがおとりになってるのと一緒じゃない!
りぃはやだ!」

「大丈夫です。クロエさんは話せば分かってくれる方ですよ。」

って、言ってる側からなんかすごい猛ダッシュで来てるよ...?
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