アクマの果実
「あ、安澄くん、教科書今日も使う?」

「...どうも。」

...なんか複雑な心境。

別に私クラスで目立つ方じゃないのに、この人気者の安澄くんの隣だから、女子の目が...。

で、割と近くに秌場くんも座っている。

というか、一応転校生のサンドイッチにされてます、私。

うわ...きつい。

まあ、正確に言えば秌場くんの隣は男子が座ってる。

...秌場くんがちょっと女子っぽいからかなんか嬉しそう。

確かに、何故かこのクラス男子率高めだけど。


...。


......!


あ、秌場くんがこっち向いたやばい。


咄嗟に目を逸らしちゃったけど...。


恐る恐るもう一度見ると、向こうはこっちのことを見ていたらしく、目が合ってにこっとされた。


...い、


いやいや!!


なんでこんな地味な私にニコって??

またなんか不穏になるじゃん。

私が危険なんだよ、なんか。

運が悪いんだよこういうのきっと...。

...。


とんとん。


と、今度は隣に肩を軽く叩かれて、びっくり。


「資料集、見せてくれます?」

「あ...は、い...。」

...これもうなんかやだ...!!
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