アクマの果実
今日はなんだか、気難しそうな顔をして何かを悩んでいる様子。

「どうしたの?」

「河津さん。どんなことをしてもらったら嬉しいですか?」

「え、えっと...。」

「お付き合いといっても、どんなことすればいいのかよく分からないんです。」

「別に何かしなきゃいけないってわけじゃないと思うけど。」

「そうですよね。」

「秌場くんは、何かしてほしいことある?」

そう言うと、秌場くんはにこっとする。

「ごはんおいしいです。」

「そっか。」

「ごはんがおいしいってことは、河津さんが幸せな気持ちになって頂いているということですよね。それがずっと続けばいいなと思います。」

「うん。」

「...これから一緒に学校へ行きたいです。」

「いいよ。」

「ありがとうございます。」

「ねえ、秌場くん。」

「はい。」

「あの...せっかく付き合ってるんだし、もっとなれなれしく話してもいいよ。」

しばらく、綺麗な瞳が私を見つめていた。

それから、またにこっとして、

ぎゅっと私の手を握った。

わ...あったかい。

「ゆな、いこう。」

手を引いて家を出る。

なんだろう。

こんな日常っていいな...。
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