囚われのサンドリヨンと舞踏会

「よかったらご試着しますか？それ、残り一点なんですよ」

「そうなんですか？着てみたいです！」

試着室にフローラは案内してもらい、ワンピースに袖を通す。ずっと憧れていたリボンやレースのついた可愛いワンピースにフローラの胸がドキドキと高鳴っていった。

「わっ、可愛い……」

試着室の鏡に映る自分を見て、フローラはニコリと笑ってみる。まるで童話に登場するお姫様になった気分だ。これを着てどこに出かけよう、そんなことばかり考えていたが、フローラは大切なことに気付く。

「そういえば、このワンピースって値段はいくらなんだろう……」

フローラは値段が書かれているタグを探し、値段を見て驚いてしまう。なんとこのワンピースは三万円もしていた。しかし、フローラの財布に入れられたお金は五千円ほどしかない。

「すみません。お金が足りなくて……」

ニコニコする店員にフローラは謝り、ワンピースを返す。そして他に安いお店がないか探し始めた。