囚われのサンドリヨンと舞踏会
フローラだって女の子だ。おしゃれをしたいし、可愛くなりたい。でもそれに必要な可愛い服もメイク道具も買えないのだ。

「誰かお金持ちの人が攫ってくれたらいいのに……」

フローラがそう言った刹那、フローラがもたれかかっている裏路地の壁が黒くなっていく。そして、壁の中から黒い手が伸びてきた。

「んんっ！？」

フローラの口が塞がれ、体に腕が巻き付く。後ろは壁のはずなのに、とフローラが混乱している間に体は壁の中に沈んでいく。

フローラは声にならない悲鳴を上げ、意識を失った。



周りが何やらうるさい。フローラのぼんやりとした意識はだんだんはっきりとしたものに変わっていく。

「えっ？ここどこ……？」

フローラが目を覚ますと、自分の目の前に広がっていたのはディズニー映画で見るような立派な舞踏会の光景だった。天井にはシャンデリアが輝き、美しいドレスやタキシードで着飾った人々が美しい音色に合わせてワルツを踊っている。
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