囚われのサンドリヨンと舞踏会
そしてフローラが自分の姿を見ると、白いレースの美しいドレス姿になっていた。頭にはティアラがついている。

「素敵なドレス……!」

一度でいいからこんなドレスを着てみたいとフローラは思っていた。頬を喜びで赤く染めていると、「姫、体調の方はいかがですか?先ほどは気分が優れないようでしたので……」と声をかけられる。横を見れば、仮面で顔を隠した青年らしき人が立っていた。着ている燕尾服は誰よりも高価なもので目立っている。

「全然平気です」

フローラがそう答えると、青年は「ならよかった。今宵の主役はあなたです。よろしければ、私と一曲……」と手を差し伸べてくる。本物のお姫様になったようで、フローラはドキドキしながらその手を取った。

「王女様がワルツを踊るのね!」

「お二人とも素敵……」

玉座からフローラは立ち上がり、青年にエスコートされながら歩いていく。多くの羨望の眼差しが集まり、フローラは照れ臭くなった。
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