囚われのサンドリヨンと舞踏会
「姫様はお美しいですし、何でも似合いますね」

使用人の一人がニコニコしながらフローラを褒めていく。フローラは「そんなことないですよ〜」と照れながらオレンジ色のドレスを選んだ。

「その色のドレスにはこのメイクとアクセサリーですね」

使用人の一人はそう言い、フローラを着替えさせた後にメイクの準備などを始める。その時、アクセサリーを用意し終えた使用人の一人が言った。

「ディアヌさん、マスカラが切れてしまっています」

そう使用人の一人が言うと、ディアヌと呼ばれた使用人は「あら本当！」と言い、城の中に取りに行くと言い部屋から出て行く。

その姿を何も考えずにフローラは見つめていたが、残った使用人が入り口の鍵を閉めてしまったことで「えっ！？」と声を出してしまった。

「大声を出さないでください。私はあなたを助けたいんです」

そう言い、使用人は近づいてくる。逃げようにも出入り口は一つしかなく、フローラは動きにくいドレス姿だ。使用人に肩を掴まれ、真剣な表情を向けられる。

「私の名前はジェルメーヌ。私もかつてあなたと同じようにこの舞踏会で主役としてドレスを着て踊っていたの」

「えっ！？あなたは使用人じゃ……」

驚くフローラの唇に指が押し当てられる。ジェルメーヌは懐からナイフを取り出してフローラに手渡した。
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