ずっとそばに 2
「陽菜…? 」
耳に入ってきたのは怒りの声ではなく、
優しく問いかけるような声。
「もしかして、手術の跡見られるの嫌? 」
「…………… 」
その通りだけど、首を横に振って否定する。
翔馬が手術してくれたのに、
私の苦しみを取り除いてくれたのに
そんなこと気にするのがおかしい。
こんな拒否していたら説得力もないから
早く手をどかさないと…………。
そう自分に言い聞かせるものの、手が震えてしまう。
「陽菜、無理しないで。
俺には正直に思ったこと言って 」
「翔馬が大好きだから、見せたくないの…。
翔馬の前では少しでもきれいでいたい 」
これ以上嘘つけなくて、本音を出してしまったけど
私って最低だよ。
なんでこんなに心が醜いんだろう?
「ごめんね。変なこと言って… 」
申し訳なさしかなくて、下を向いてしまうと、翔馬の手が顔に添えられた。
なんで………?
傷を受け入れられないなんて
本気で私を想って治療してくれた、翔馬の気持ちを踏みにじるようなことと同じ
そんな意味のことを言ってしまったから、恐る恐る翔馬の顔に視線を戻すと
信じられないほどの笑顔。