ずっとそばに 2
「少し動いたくらいで俺は怒らないから謝らないで。
消毒は終わったよ。
バンソウコウ貼るから手そのままにして 」
優しく目を細める翔馬。
指先には翔馬の温もりを感じ、ダランと力が抜けると、
しっかりと指にバンソウコウが巻かれた。
「もう痛みない? 」
「うん、…大丈夫 」
「良かった。今日は疲れちゃった? 」
「ちょっとだけ… 」
「そっか、じゃあ、勉強はまた今度にしてお風呂行こっか? 」
行こっかって、いっしょに入ろうってことだよね。
嫌じゃないけど、
今は………、少し一人になりたい。
「ごめんね。一人で入りたい。
少し考えごとがあるから 」
「わかった。あんまり長湯はすんなよ 」
あっさりそう言ってくれた翔馬だけど、
表情がとても優しくて。
翔馬に言いたくても言えないようなことがあるなんてことまで察してくれているようだった。
私のすべてを見透かしているような瞳。
「気をつける。翔馬、いつもありがとう 」
今、翔馬といても甘えて泣くことしかできないから、
頬の涙を手で拭きながら、笑顔で翔馬に言って、お風呂に入った。