ずっとそばに 2

「陽菜、出ておいで。
潜っていたら苦しくなっちゃうよ 」


「…………… 」


「ほら、大丈夫だよ 」


布団をまくられて、抱っこされて

トントン背中をリズムよく叩かれた。


赤ちゃんをあやすかのように、とても優しい手つき。



「このまま測ろうな 」


「…やだ 」


「拒否しないで。陽菜が心配なんだから 」


「ごめんなさい… 」



翔馬の心配という言葉には弱い。


力をダランと抜いて翔馬の肩に顔を埋めると、

服の中に体温計が入ってきた。


そして、翔馬の優しい熱に包まれたまま、しばらく大人しくしていると…


ピピピピッ………


体温計が鳴った。


「熱、高いな……… 」


「何度なの ? 」


「39.3 」



そんなにあったんだ。


聞くだけで、気分の悪さがます数字。



「くる…しい、辛いよっ…グスッ 」



「そうだよね。よしよし。

熱高いから喉乾いたでしょ? 水、持ってくるね 」


毛布を私にかけて、ベットに寝かせる翔馬…



厚手の毛布の中は温かいはずなのに、
翔馬から離さただけで


不思議くらいひんやりとする感覚。






< 63 / 102 >

この作品をシェア

pagetop