今宵、キミが砕け散る
新美 星 side

  俺と真紀は旧校舎の3階にある、東の溜まり場に向かっていた。

 「んで、聞いたの?宵に」

 いつもは余り見せない真面目な表情で、俺を見る真紀になんとも言えない気持ちになる。

 「うん。聞いたよ」

 「なんて?」

 「……知り合いじゃないって。昨日少し話しただけって言ってた」

 「そっか。よかったじゃんか」
 
 うん。よかったよ。

 よかったけど、なんだか複雑だ。

 「星は何をそんなに悩んでるんだよ」

 まるで大人しい俺が鬱陶しいとでも言いたそうに、眉を顰めて聞いてくる。

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