今宵、キミが砕け散る
あの日々が今日も遠く
「ん……」
人の気配がして浅い眠りから意識が浮上した。
無意識のうちに気を張ってしまうのは、今でもまだ抜けないみたいだ。
「あ!いた!!」
聞き覚えのある声がして、ベンチから起き上がりそちらを見た。
「優香?」
私が彼女の名前を呼ぶと、可愛らしい笑みを見せて駆け寄ってきた。
「宵ちゃん!」
昨日と同じように、私にタックルを決める勢いで抱きついてきた優香を受け止める。
「やっと会えたぁ」
本当に嬉しそうに呟いた優香は、更に私を抱きしめる手に力を入れた。