今宵、キミが砕け散る


 「あ、えと……い、嫌ならいいの!」

 彼女はとても、心が綺麗なんだろう。

 綺麗で優しくて純粋で……。

 まるで何も知らない、赤ちゃんみたいに。

 だから学校だと安心して、力も何もない、抵抗することすら出来ない癖に一人で勝手に行動する。

 自分がどんな存在で、どんな立場に立っているのか。

 都司達にどれほど大切にされているのか、まったく理解をしていない。

 ……イラつくな。

 「嫌じゃないよ」

 そう思っても顔には出さず、優香と連絡先を交換した。



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