今宵、キミが砕け散る

 「優香!」

 突然、優香を呼ぶ声がして、私達は反射的に声のした方を向いた。

 「はっ、よかった……」

 そこには息を切らした都司がいた。

 それに続き、後ろから美苑、加賀美、佐城が来た。

 ……やっぱり。

 優香はどうしてこんなに彼らが自分を探していたのかわかっていないようで、キョトンとしている。

 「恭ちゃんたち、どうしたの?」

 ―― " 東 " も、大変だな。

 彼らに少し、同情心が湧いた。

 「ひとりで出歩くな。心配する」

 安堵の溜息をついて、都司は優香を抱き寄せた。

 
< 120 / 324 >

この作品をシェア

pagetop