今宵、キミが砕け散る


 「だったら、抵抗してみてくださいよ」


 囁かれた声に、体がゾクリとした。

 「ほら」

 勝ち誇ったように笑った美苑に、イラッときた。

 「こんなの……っ」

 なんだか少し、泣きたくなった。

 「出来ないんですか?」

 手首を動かして美苑から逃れようとしても、びくともしない。

 私って、こんな弱かったっけ?

 「男、舐めんじゃねぇよ」

 本当に、小さく呟かれた声を拾ったのはきっと私だけだった。


 
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