今宵、キミが砕け散る

 「俺もよろしくしてね、琴ちゃん?」

 琴ちゃんって、私?

 そんな私の疑問が伝わったのか、佐城は笑みを浮かべた。

 美苑と同じように、佐城の瞳には昨日のように鋭さはなかった。

 マジで何言ったんだよ、優香……。

 思わず出そうになった溜め息を飲み込んだ。

 「では、説明しに行かないとですね」

 立ち上がった美苑に続き、都司、佐城、加賀美、優香と、ドアに向かった。

 「宵ちゃん、行くよ!」

 さっきまで泣いていたのに、もう元気な優香に呆れながらも私もドアの外に出た。


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