今宵、キミが砕け散る
 「ごゆっくりどうぞー」

 一礼してから、また料理を受け取りに戻る。

 「あ、あのっ」

 突然声をかけられて、振り向くと携帯も握りしめた女の子2人が頬を赤くしながら言う。

 「写真、撮っても良いですか⁉︎」
 「えっと、私をですか?」
 「はいっ!」
 「お願いします‼︎」

 つってもなぁ。

 チラリと嶺緒の方を見ると、親指を立ててウィンクをして来た。

 「良いですよ」

 お、ぼ、え、て、お、け、よ。

 そう嶺緒に向けて口パクをした。

 思いっきり顔を逸らされたから伝わったと思う。
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