今宵、キミが砕け散る
新美 星 side


 嫌だった。


 全てが嫌で、何もかもがくだらないと思った。


 普通なんて、とうに諦めた。


 這い上がる嫌悪感を、必至に押し込めた。


 俺を映す瞳を見ないように顔を晒した。


 俺が俺であることが、苦痛でしかなくて。


 真紀のことでさえ信じきれない自分が、どうしようもなく嫌いだった。


 まだ力も何もない子供だった。


 なんの知識もない。


 「星」


 その声で俺の名前を呼ぶな。


 その瞳で、俺を見ないでくれ。

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