今宵、キミが砕け散る



 「私は、貴方が欲しかった」



 唇に触れた温もりは、気持ち悪いの何ものでもない。


 触れられた身体は、この女の香水の匂いがした。


 誰か、誰でもいいから助けてくれ。


 俺をここから引き上げてくれ。


 汚れた身体と心が、俺を蝕んでいく。



 「だぁいすきよ」



 ああ、だから。


 女なんて嫌だったんだ。




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