今宵、キミが砕け散る

         * * *


 至って普通の家に生まれた。


 それが幸せなのだと気づいたのは随分と後だったけど、この生活が嫌だとは思わなかった。


 お父さんはいなかったけど、俺にはお母さんがいればいいと思っていた。


 「星!学校行こうぜ!!」


 今と比べると、俺と真紀の性格はだいぶ変わってしまった。


 小学生の頃は真紀が俺を家まで迎えに来てくれた。


 人見知りで、友達が真紀しか居なかった俺は、ずっと真紀の背中に隠れていた。


 「う、うん!お母さん、行ってきます!」


 そして今日も、いつも通り学校に向かう。
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