今宵、キミが砕け散る





    「私の目の前から消えて」






 暗い部屋。


 布団にくるまって、どうしてこんな風になってしまったのかと考えた。


 何時間考えても、答えは浮かばなかった。


 ああ、そうだよな。


 だってこれは、元々俺が生まれてきたのが悪かったからなんだ。


 俺はずっと、お母さんを苦しめていた。


 でもそれに気がつかなくて、ただ前のような日常が戻ってくることを信じていた。


 それは叶わないことなんて、思っても見なかった。

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