今宵、キミが砕け散る


 「くっ、あ"……」


 気がつけば俺は、女の首に手をかけていた。


 「せ、い……っ」


 苦痛に歪んだ顔は、酷く見ものだった。


 「や、め」


 その言葉で、ハッとした。


 「はっ、はー、はー」


 必至に息をする女の瞳には、恐怖が見え隠れしている。


 さっきまではあんなに俺に興奮していたのに、愛とは脆いモノだと自嘲した。


 「殺されたくなかったら、もう俺に関わるな」


 それに女は激しく縦に首を振った。

< 176 / 324 >

この作品をシェア

pagetop