今宵、キミが砕け散る


 首を絞めて、もう一生喋らないようにしてやろうかなんて一瞬考えた。


 「お、れ……」


 女がやめてと言ったとき、お母さんもこんな気持ちだったのかと思った。


 レイプされているとき、こんなにも怖くて、惨めで、絶望したのかと。


 俺に、そんな男の血が流れているなんて知ってしまったら、嫌で、嫌で。


 俺もそうなってしまうのではないかと怖くなった。


 「俺、最低だ!!」


 吐き出すように言った。



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