今宵、キミが砕け散る
世の中には知らない方がいいこともあるというけれど。
キミのことを、宵を知りたくてたまらない。
それでも俺は、まだ……。
「そっか……」
離れていってしまうことを恐れて、まだキミに踏み込めない。
キミの心に、触れられない。
「私、星に逢えてよかったよ」
あの女の声を、匂いを、温もりを……塗り替えるように、宵は俺を抱きしめた。
「よかった……」
言葉を噛み締める。
あの日、あの時、枯れるほどに泣いたはずなのに、涙が頬をつたった。