今宵、キミが砕け散る


 こんな情けない姿を見せるつもりはなかった。


 こんな、こんな……。


 「っ……」


 キミにこんな、カッコ悪い姿なんて見て欲しくない。


 それなのに……。


 それなのに、離したくない。


 宵を、離したくないんだ。


 (ーー…好きだ)


 宵が、好きで、好きで好きで、愛おしいと思った。


 俺に安らぎを与えてくれる、キミの存在を手放したくなくて。


 「宵……っ」


 腕を背にまわして、キツく強く、逃げてしまわないように抱きしめ返した。


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