今宵、キミが砕け散る


 心配だった。


 不安だったんだ。


 汚いやつの種から生まれた汚い俺を、キミは拒絶して逃げていく。そんな場面ばかりを想像した。


 抱きしめて、温もりを与えてくれるなんて思いもしなかった。


 キミの言葉ひとつひとつに、心が浄化されていくような感じがした。


 キミに抱きしめてもらうと、俺が俺でいていいような気がした。


 一度想ってしまったら止められないほど、感情が溢れ出して。


 満たされたい満たしたい。


 愛しいと、全身が叫んだ。





     (キミは本当に、麻薬のようだ)



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