今宵、キミが砕け散る


         * * *


 「そろそろ戻ろっか」


 私がそういうと、星は少し赤くなった目を擦りながら頷いて立ち上がった。


 「……ん?」


 左手になんだか包まれているような違和感があって目をやると、星が私の手を握っていた。


 「えっ、と……」


 これは、どういう?


 「ヤダ?」


 上から聞こえる声に反応して視線をあげた。


 「……嫌?」


 ……ヤバいっ、耳が見える!!


 しゅんとした星がかわいくて、誤解されないように首を振った。

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