今宵、キミが砕け散る


 「そう、見えます?」


 心なしか嬉しそうに見える彼に、私は目を見開いた。


 ……何言ってんのコイツ!?


 繋いでいた手を見せつけるように上にあげて首を傾げる星に、優香は顔を真っ赤に染めた。


 「や、やややっぱり!どうして言ってくれなかったの、宵ちゃん!?」


 肩を掴んで揺さぶる優香。頭が回ってきて気持ち悪くなってくる。


 「ゆ、ゆーか……」


 「はっ!ご、ごめん」


 名前を呼ぶと、すぐに手を離して揺さぶるのをやめてくれた。

< 203 / 324 >

この作品をシェア

pagetop