今宵、キミが砕け散る


 「ただいまぁ〜」


 チリンチリンとドアに付いているベルが鳴る。


 「おー、遅かったな宵。おかえり」


 嶺緒が私に気づくと、他のお客さんも私に気づいて口々におかえりと言ってくれた。


 「あれ、今日ヤスは?」


 「んあ?あーっと、……確かアイツ急患だって帰ってったよ」


 「大変だねぇ」


 鞄を置いてエプロンをつけながらしみじみと会話をする。


 「疲れてねえ?少し休んでからでもいいぞ?」


 「んー、だいじょーぶ。これ、何番テーブル?」


 「5番。気をつけろよ」
 

 「はいはーい」


 料理を持って5番テーブルまで歩く。

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