今宵、キミが砕け散る
腐りきったこの世界


 朝、電話の音で目が覚めた。


 手探りでスマホを探してもなかなか見つからず、しょうがないから体を起こした。


 「んー、もしもし……」


 『あ、宵ちゃん、もしもし!!』


 朝から元気な優香の声が、今は頭に響く。


 「うん、どーしたの。こんな朝から」


 『あ、そうそう。昨日宵ちゃん1人で帰っちゃったでしょ?恭ちゃんが宵ちゃんを家まで送れっていってたんだけど送らなかったから怒られちゃって……』


 「……ん」


 『だから、今日宵ちゃん溜まり場直行ね!恭ちゃん達が宵ちゃんが今どれだけ危険な状況なのか説明しなくちゃいけないんだって』


 そういう優香の声は、少し弾んでいる。

< 214 / 324 >

この作品をシェア

pagetop