今宵、キミが砕け散る
「うん!」
都司が優香と話すときは、頬がだらしなく緩んでいる。声もいつもより優しいし、威圧感なんてない。
本当に、同一人物か疑わしくなるほど、雰囲気が違っている。
「……、イチャイチャはそこらへんにしてください」
そう言われて、優香は顔を赤く染めた。
流石美苑だ。この2人の甘い空間を難なくぶった切る。
「恭、」
話すのはお前だというように、美苑は都司の名前を呼んだ。
「……前も言ったが、琴瀬の存在が北の一部に知られているかもしれない」
そういう都司は、先ほどとは打って変わって鋭く目を光らせていた。