今宵、キミが砕け散る
……お、怒らせた?
あはは、と笑って見たらさらに美苑の眼光は鋭くなった。
「あは……、?……さ、佐城!助けてっ……!」
一番近くにいた佐城の後ろに隠れて、顔だけを出す。目に映ったのは、先ほどとは違い黒いオーラを漂わせた満面の笑みの美苑だった。
「へ?琴ちゃ……え、せ、芹……?」
「佐城!私を美苑から守れ!」
「はぁ?!……いやいやいやいや、無理だね、つーか、無理だよ!芹に何したの琴ちゃん!!?」
最早バケモノにでも遭遇したかのように佐城にすら怖がられている美苑。何も知らない人が見たら彼を不憫に思うかもしてないけれど、それほどまでに今の美苑の笑顔は恐ろしいのだ。
「あはは……。いやぁ、ちょっと。ちょこぉっっとだけからかった……的な?」
「!?、ばっかじゃないの!」
そう言いながらも私の身体を後ろにやってくれる美苑から隠そうとしてくれる佐城に、此奴絶対モテると確信した。