今宵、キミが砕け散る

 「はっ、」

 こめかみを汗が伝う。
 身体が震えて息が上手く出来ない。

 「さいあく……」

 いつまで経っても、私はあの日々から抜け出せない。

 『アイシテル』

 嗚呼、いらない。

 あんたの愛なんて、求めてない。

 『可愛いよ、宵。これで全部、僕のものだ』

 気持ち悪くてたまらない。

 憎くて、たまらない。


 「宵、そろそろ……宵⁉︎」

 嶺緒の声が聞こえる。

 焦ったような声が、でも私は私の体をどうすることもできない。




 

 
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