今宵、キミが砕け散る



 「あれれ、琴瀬さん。そんなに怖がって……どうしたんですか?」


 「ま、まぁまぁまぁ。落ち着こう?落ち着いてください芹くん」


 「落ち着いてますよ?ほら、琴瀬さん。こっちにおいで?」



 まじで怖いんだけどこの人。ぎゅうっと佐城に後ろから抱きつけば、佐城がピタリと固まった。


 それに、何故か美苑は笑みを深め、佐城は顔を青くした。



 「もー!何やってるの?宵ちゃん達……え?」



 いつのまにか溜まり場から出ていたらしい優香達が、いつまで経ってもなかなか出てこない私たちを不思議に思って戻って来たようだった。



 「あ、え……っと?」



 優香が私の顔を一人一人見渡す。


 どうやら、この状況を理解しようとしているらしいけれど最終的には首を傾げ諦めたようだ。



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