今宵、キミが砕け散る
「やったぁ!じゃあ恭ちゃん達に言わないと」
子供みたいにはしゃぐ優香は、私の手首を掴んで走りだした。
「ちょ、まって!」
その後ろから佐城の声とバタバタと足音が聞こえる。
「あ、優達遅いよ!」
ちょうど向かおうとしていたのか、ばったり加賀美にあった。その後から、美苑と佐城が追いついた。
「ごめんね!しーちゃん、恭ちゃんどこにいるかわかる?」
「えっとね、今電話してるよ。もうすぐ戻ってくるんだと思うんだけど……」
噂をすれば……というのか、こっちに歩いてくる都司が見えた。
「恭ちゃん!」と早速聞きにいく優香を、少し後ろで待つことにした。
「琴瀬さん?」
耳元で囁かれた色気のある声に、ゾワリと鳥肌がたった。
勢いよく振り向くと、美苑と佐城が笑っていて、さっきと状況が違うのは、きっと佐城が私の味方じゃないということだ。