今宵、キミが砕け散る
ずっと夢を見ていた
「ここだよ」
着替えを持った優香達と一緒に、歩いて数十分ほどで家に着いた。
「わ、宵ちゃんの家カフェなんだ!」
驚いたようにいう優香に、そうだよという意味を込めて頷いた。
「こっち。着いて来て」
裏にある玄関のドアを開けて中に入る。事前に嶺緒には連絡して置いたけれど、そのメールを見ているか不安だ。
「あ、トイレそこだから好きに使って」
案内をしながら、ひとつひとつ説明していく。最後に客間に行き、荷物を置いてもらった。
「どうする?なんか食べる?」
時刻は7時過ぎで、割といい時間だ。
「え!宵ちゃん料理できるの!?」
「失礼な。私をなんだと思っているんだ」
実際、嶺緒の手伝いをしているときに料理をしたりする。運ぶだけじゃないのだ。それに、何度か嶺緒に料理を教えてもらったりするから、結構上手くなったと思う。
「あ……」
そうだ。そういえば、嶺緒の作った奴があることを忘れていた。絶対そっちの方が美味しいと思い、冷蔵庫から取り出した。