今宵、キミが砕け散る
脱衣所で身体を拭いて服を着る。
洗面台の隣に置いてあったドライヤーを手に取り髪の毛を乾かしているとき、あるものが目に止まった。
コンタクト……、?
箱に入っている、黒い使い捨てのコンタクト。
誰が使っているのか、全く検討もつかないし、そもそも日本人は瞳が暗いから必要ないんじゃないかとひとり疑問に思いながらも、髪が乾いたのを確認してからリビングに戻った。
「お風呂ありがとー!」
いいお湯だったと言おうとしたとき、宵ちゃんの姿がリビングに無いことに気がついた。
「あれ、宵ちゃんは?」
「あ〜。なんか、やることあるからって、自分の部屋に行っちゃったよー」
近くにいた渚くんが答えてくれた。
「そうなんだ……」
はじめての女の友達で、つい嬉しくて舞い上がってしまった。
だから、結構宵ちゃんに、ぐいぐい言っていたことに今更気づいて、もしかしたら今日も何かやることがあって、それを邪魔してしまったのでは無いかと考えると申し訳ない気持ちでいっぱいになった。