今宵、キミが砕け散る




 宵ちゃんが戻ってきたのは、私たち全員がお風呂に入り終わってからだった。




 「ごめんね、色々してたらおそくなった」


 「うんん、大丈夫だよ。お風呂ありがとう!」


 「うん。私もすぐ入ってくるね」




 そう言って、リビングから出て行った宵ちゃんを見送る。




 「にしても……、琴ちゃんの家がカフェってびっくりだわ〜」



 渚くんの言葉に、私たちは頷いた。思い返せば、宵ちゃんってそういう言動ひとつ取ったことがなかった気がする。



 結構秘密主義者で、本当に、指で数えられるほどしか私たちは良いちゃんのことを知らない。




 「宵ちゃんの、お父さんとお母さんって、どんな人たちなのかなぁ」




 きっと、いい人たちなら違いない。なんたって、あんなに優しくていい子を産んだ人達なんだから。それに、絶対美形家族だろうなぁ。



 しみじみと、そんな話をしていると、一階からガチャリとドアが開いた音がした。



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