今宵、キミが砕け散る




 「は、?……、誰だ」




 私たちを目に映した瞬間、その男の人は声を低くした。明らかに殺気のこもった声に、私たちの間には殺伐とした雰囲気が漂う。





 「お前らは、何かなぁ〜。宵はどこ」





 鋭く、目を細める男の人が恐ろしく感じてビクリと肩が揺れた。同時に、泥棒じゃないことにも安心した。宵ちゃんを知っているみたいだから知り合いなのかもしれない。




 「琴ちゃんは今お風呂だけどー、貴方こそ、誰なのー?」




 ゆるい喋り方だけど、渚くんが警戒しているのがわかった。




 「俺はここの家の主人ですー。んで、君たちはー?」




 「えっ」と、隣でしーちゃんが呟いたのが聞こえた。大きな目をさらに大きく見開いているその姿すら美少女で、なんだかこんな状況なのに負けた気分にらなった。





 「俺たちは琴瀬の仲間だ」



 「は、仲間……?」




 眉を顰める男の人は、心底意味がわからないといった様子だった。



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