今宵、キミが砕け散る
「あの、貴方は宵ちゃんのお父さん、ですか……?」
ドキドキしながらそう聞けば、彼と宵ちゃんは顔を見合わせた。次の瞬間、意味を理解したらしい宵ちゃんはぷはっと吹き出し、彼はどこか嬉しそうに頬を緩めた。
「ふはっ、ははは……、んなわけ……」
「うん。そうだよ。俺は琴瀬嶺緒。これからも宵と仲良くしてやってね?」
被せるように言った、嶺緒さんという人は、とてもいいお父さんという感じがした。
「え、は……ちょ、嶺緒!?何いって……」
「はいはーい……宵ちゃん?ちょこぉーっとだけこっちに来てもらっていいかなぁ〜???」
ちょっとごめんね。待っててくれる?と断りをいれて、そそくさとリビングから出て行った2人。
「…………や、ヤバい感じ!?私達来ちゃダメだったかなっ、」
勢いよく後ろを振り向いて聞けば、誰も目を合わせてくれなかった。