今宵、キミが砕け散る




 「ごめん、宵ちゃん……。やっぱり今日都合悪かった?」



 「へ?あ、ち、違う違う!そんなんじゃなくて……」



 「そ、そうなの?」




 あまりの勢いに、若干圧倒されながらも頷いた。



 「えっと。ごめんはこっちのセリフで……。なんか、お……、『お父さん』が失礼なこと言ったみたいでごめんね?」





 宵ちゃんのその言葉で、私の中にあったモヤモヤがパッと晴れた。



 あ、そうだ。私、宵ちゃんが嶺緒さんのこと、「嶺緒」って言っていたことが気になっていたんだと気が付いた。





 「ぜ、全然だよ!こっちも……まぁ色々と言っちゃったし……」





 せっかくの女の子の友達のお父さんに、あんな失礼な態度をとったことを後ろめたく思って、語尾が小さくなってしまった。




 「はは。じゃあ、お互い様だね」





 そう、笑い飛ばす宵ちゃんが私の目には女神様のように写った。



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