今宵、キミが砕け散る
皇 嶺緒 side
パタンと、静かにしまったドアを見て俺はただ呆然としていた。
まじ、言ってんのかよ宵?……この状況で、このメンツで何を話せと?
俺は凄くコミュニケーション能力が高いと言えないから、初対面の彼らとどう接して宵たちが戻ってくるのを待っていればいいか分からない。
拷問かよ。思わず口から出そうになった言葉を咄嗟に飲み込んだ。
取り敢えず、突っ立ったままの彼らを椅子に座るように促す。
絶対仕返しだろアイツ!!
そんなに親子設定が嫌だったのかと内心ショックを受けながらも表情には出ないように取り繕う。
実際、俺は宵を何も知らないから。知らない奴と2年も居させるなんてどうなんだよって思う奴もあるかもしれないけどそれは今どうでもいいんだ。
何も知らないということは、勿論宵の家族のことだって知らない。
親子設定……、良いアイデアだと思ったんだけどな。普通に凹むわぁー。
「あー、えーと……」
沈黙はきついから、何か話題がないかと目線だけで部屋を見渡す。