今宵、キミが砕け散る



 「……、宵は。学校ではどうだ?」



 口にした言葉は、本当に自然に飛び出したモノだった。



 「学校で、ですか……?」




 それを苦笑いで考える彼らを見て、俺の不安が掻き立てられる。



 カフェで仕事をしているときもそうだった。いや、高校に行けと言ったのは俺だけれども、行ったら行ったとなるとやっぱり少し後悔した。




 本当に、宵の親になったように。あの容姿だ。いじめられていないかとか。ちゃんと友達ができたのかとか。



 友達ができたと聞いて、自分のことのように嬉しかったのは今でも覚えている。って、そんなに前じゃないんだけど。



 「いつも、笑っていますよ」




 美苑芹といったか。眼鏡をかけた美青年が少し笑みを浮かべた。



 「毎日、楽しそうです」



 「……そっか。……宵と、友達になってくれてありがとうな」




 あの子が笑えているなら、いい。あの子が幸せを感じてくれているならいい。ただ少し寂しく思ってしまうのは。願ってしまうのは。




 本当に、本当の。



 親になれたらいいのにな、なんて。




 そう考えて、苦笑した。



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