今宵、キミが砕け散る





 「……ん?」





 拍子抜けというか、なんというか……。





 「え、ちょ、ちょっと待って。優香と都司って、付き合ってどのくらい?」




 「……一年と、半年くらい?」




 最早惚気という以前の問題だ。私が優香と都司の話を聞かせてと言ったときあんなに大きな返事をしたくせに、キスすらもしたことがなかったなんて……。



 恋バナというよりは、恋愛相談で夜を明かしそうだ。





 「ほっぺにちゅーとかはあるの。で、でもね、その、唇には……なく、て」





 恥じらう顔は、きっと都司が見たら般若のような形相で胸に抱き止めてしまうほど可愛い。





 「大事にされてるって、わかってるんだけどね……」






 思っていたより違う方向に話が逸れていくけれどこれは結構重大な問題だ。




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