今宵、キミが砕け散る



 「よし、優香。こうなったら何がなんでも都司にキスして貰おう」



 私がそう言った途端、優香の顔は先ほどよりも赤くなった。




 「な、何言ってるの宵ちゃん……!?」




 「だって……優香、都司とキスしたいんでしょ?ほっぺとかじゃなくて、ちゃんと唇に」



 図星だったのか、何も言い返す言葉がないように口を紡いだ優香。少しして、小さく頷いた。




 「なら、決定ね。じゃあ、優香がすることは一つだけ。一言、都司に『(唇に)キスして』って言うだけだよ」



 「え!?む、無理無理無理!ぜーーーったい、無理だよ!!」




 首が取れてしまうのではないかってくらい、激しく首を振る優香だけど……、それ以外に方法なくない?




 「当たって砕けろ!だよ、優香」




 実際、都司のことだ。砕けることはないと思う。ただ、今まで溜め込んでいた分歯止めが効かなさそうだけど……。


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